Column
コラム
バリアフリー字幕について
映画『明日をへぐる』は高知県を舞台にしたドキュメンタリー映画ですが、すべての回を字幕つきで上映しています。
洋画でもないのになぜ…?と思う方も多いと思いますが、すでにご覧になった方は、意外と違和感なく観ることができたのではないでしょうか。とくに、本作では方言の台詞が文字になることでわかりやすい、というリアクションも多くいただいています。専門用語の多いドキュメンタリー映画は文字とあわせてみることでより理解が深まる、という意見もあります。
なお、通常の日本映画では、字幕付きは公開期間中に2~3日など、かぎられたタイミングでの上映となり、耳が聞こえない・聞こえづらい聴覚障害の方はいつでも楽しめる状況ではありません。
本作の配給であるパラブラ株式会社で運営するアプリUDCastはその鑑賞の機会をクリアするために対応されているのですが、特別な機器が必要だったり、視点の移動があったりするため、聴覚障害の方にはスクリーンに字幕が付いた上映が求められていると感じます。そこで本作は常に字幕付きで上映することで、いつでもだれもが楽しめる作品を目指しています。
参考:
その②映画編!理想の字幕提供方法 アンケートの結果発表!聞こえない、聞こえにくい人の「字幕」について聞いてみた。
バリアフリー版の制作には今井監督にもご協力いただいています。監督から頂いたコメントもあわせてご覧ください。
バリアフリー日本語字幕とは?
洋画の翻訳字幕は台詞の日本語訳が表示されています。一方、日本映画の「バリアフリー日本語字幕」は、映画の音が聞こえない人にもストーリーがわかりやすいよう様々な工夫がされています。ここでは、実際の映画で字幕がどのように表現されているかご紹介します。
※画像は特別に映画より引用しています。
ナレーション
映画全体にかかる原田美枝子さんのナレーションも、一言一句字幕になっています。主に画面右側に縦書きで表示されています。
台詞を話している人の名前
本編のテロップとして「高橋正代さん」とありますが、その下にあるのがバリアフリー日本語字幕です。話している内容を文字化しています。マスクをしていて口の動きもわからない状況なので、正代さんの声だということを伝えるため話者の名前がカッコで入っています。
環境音
季節の移り変わりを知らせる鳥の鳴き声や台詞にならない音声など、演出意図となる効果音を字幕にしています。
音楽のある個所に♪マークを表示
♪マークがあることで、いま音楽がかかっていることを伝えています。曲名や楽器の名前を併記することで、よりイメージが膨らむようにしています。ほかの字幕と区別するため斜体になっています。
ほかにも、初めて出てくる言葉にはフリガナをふっていたり、より直感的にわかりやすい工夫がされています。
これからご鑑賞予定の方は、ぜひ字幕に注目してご覧ください。