Topics お知らせ
音声ガイド体験~ドキュメンタリー映画「沖縄うりずんの雨」編
移動のバリアゼロ!の映画配信プロジェクト うちドキュ第2弾「うちにいながらドキュメンタリー映画で旅しよう」では、視覚障害のある方からのリクエストを受けて「通常版」に加え、映画の本編音声に音声ガイドが含まれる「音声ガイドミックス版」も配信しました。
実際、何が違うの?
ミックス版は視覚障害者だけのためのもの?
音声ガイドってどんなもの?
そんな方のために、特別に許可をいただいて体験動画を作りました。
「通常版」音声ガイドなし
「ミックス版」音声ガイドあり
同じ場面を見てみましょう。
※バリアフリー日本語字幕は「通常版」「ミックス版」ともに同じ内容です。
映画「沖縄うりずんの雨 改訂版」作品情報
2019年/ジャン・ユンカーマン/148分

Ⓒシグロ
うりずんの雨は 血の雨 涙雨 礎の魂 呼び起こす雨
沖縄戦の真実に迫り、戦後の沖縄の歴史を見つめ直すことによって、沖縄の「終わらない戦後」をいま一度、私たち自身に問うドキュメンタリー映画。
それでは、冒頭のほうの1分半を特別にご覧ください。
通常版 音声ガイドなし
ミックス版 音声ガイドあり
※音声ガイドの内容を文字で観たい方は、YouTubeの「字幕」ボタンをONにしてご覧ください。
音声ガイドの3つのポイント!
①字幕読み上げ音声
冒頭の国際政治学者、ダグラス・ラミスさんの発言は、通常版では字幕がついて、英語の音声のみが流れます。でも、字幕を読まない視覚障害の方は、英語だけだと発言の内容がわかりません。そこで、外国語映画の場合は音声ガイドとともに、違う声優さんによる字幕の読み上げを収録しています。“ボイスオーバー”という形式で原音に重ねているので、オリジナルの音声の雰囲気も楽しめます。字幕を追わなくていいので楽ちん、と好評です。
※映画『タゴール・ソングス』UDCastでの字幕読み上げ動画はこちら!
②演出の意図に沿った情報提供
「写真集に収められた一枚。粉々(こなごな)のヘリコプターの脇にアメリカ兵」
という音声ガイドがありました。音声ガイドは、端的に言うと、映像が何を表しているか伝えています。短いセリフとセリフの間に、できるだけシンプルに伝わりやすい言葉で、一番受け取って欲しい情報をガイドしてくれるので、今の場面で監督が何を観てほしいのかを理解する指標になります。もちろん、今回配信中の5作品の音声ガイドは監督にもご確認いただいた公式のものです。ドキュメンタリーはついつい、ぼんやりと観てしまう、もっと演出意図をしっかりとらえたい!という人にもおススメ!
③想像の余地を残す構成
「左右の翼の両端に大きな回転翼を持つオスプレイ。
頭上を通過していく」
この音声ガイドのあと、石川さんが飛び去るオスプレイにカメラを向けています。この間、音声ガイドはありません。「頭上を通過していく」というガイドの後、この飛行音をしっかり聞かせることで、それぞれの心の中にイメージを膨らませることができます。また、(シャッター音)や(フィルムを巻く音)などもきちんと聞こえるようにタイミングを調整しています。音声ガイドは、ひっきりなしに説明しているというわけじゃなくて、余白を感じることができるよう構成されているんです!
いかがでしょうか?
他にも、登場人物のお名前や肩書のタイトル、画面上に現れるテロップなどの視覚情報は音声ガイドが読み上げます。
なお、通常版をご鑑賞の場合は、別の端末にUDCastアプリを立ち上げて映画の音声を聞かせることで、この音声ガイドと字幕読み上げ音声をアプリから再生することができます。映画館では、そのようにしていつも必要な方が音声ガイドつきで鑑賞しています。
見える方でも、むしろ音声ガイドつきの方が映画に集中できる、わかりやすいという方も。通常版をすでに観ている方も新たな発見があるかもしれません。ぜひこの機会に比べてみてください。
『沖縄うりずんの雨』の製作を担当された前澤哲爾さんを偲んで、うちドキュ第2弾終了後も、『沖縄うりずんの雨』の配信のみ7月12日まで延長しています。
