Works 実績
Palabra株式会社の映像のバリアフリー化の流れはこちらをご覧ください。
日本映画
○字幕・音声ガイド制作+UDCast対応
夜明けのすべて(副音声も対応)・福田村事件・ドライブ・マイ・カー・花束みたいな恋をした・日日是好日・万引き家族・光(河瀨直美監督)・愛がなんだ・カメラを止めるな!・この世界の片隅に・全日本ろうあ連盟創立70周年記念映画『咲む』・音楽ライブ『Reframe THEATER EXPERIENCE with you』(副音声も対応) ほか
○制作:音声ガイド
劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦・鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎・ゴジラ-1.0・劇場版 呪術廻戦 0・竜とそばかすの姫・名探偵コナン 緋色の弾丸・東京リベンジャーズ・劇場版「鬼滅の刃」無限列車編・銀魂2 掟は破るためにこそある(副音声も対応)・HiGH&LOW THE MOVIE 2・3 ほか
○制作:字幕
月・新聞記者・ぼけますから、よろしくお願いします。・さとにきたらええやん・聲の形 ほか
○UDCast対応
キングダム・翔んで埼玉・こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話 ほか
○ディスク用
君の名は。(音声ガイド)、ペンギン・ハイウェイ(音声ガイド)、50回目のファーストキス(字幕)、レインツリーの国(特典映像:字幕&音声ガイド)ほか
○非劇場上映用 字幕・音声ガイド制作
外国語映画
○バリアフリー字幕制作
私だけ聴こえる・MINAMATA-ミナマタ-・幸せのありか・きらめく拍手の音・ヴァンサンへの手紙 ほか
○音声ガイド制作
ピアノ・レッスン 4Kデジタルリマスター・私だけ聴こえる・MINAMATA-ミナマタ-・パワーレンジャー・シンプルシモン・奇跡のひと マリーとマルグリット・すれ違いのダイアリーズ(字幕読み上げヴォイスオーバーも制作) ほか
配信・テレビ
○Google「Project Guideline」紹介映像(字幕・音声ガイド制作)
○SONY Stories(動画のテキスト版制作)
○Miraikanストーリー ともにつくる挑戦(動画のテキスト版制作)
○落合陽一|ダイバーシティ・ファッションショー「True Colors FASHION」(字幕・手話撮影)
○THEATRE for ALL(バリアフリーコンサルティング・字幕・手話・音声ガイド制作)
○Amazon オリジナルドラマ『誰かが、見ている』(字幕・音声ガイド)
○サイレントラジオ(字幕)
○世界は今 -JETRO Global Eye(字幕・音声ガイド)
○福岡恋愛白書11・13(字幕・音声ガイド)
ほか
演劇
○字幕・音声ガイド制作+UDCastLIVE対応
COCOON PRODUCTION 2022「広島ジャンゴ2022」(字幕端末貸し出し・台本貸し出し・舞台説明テキスト貸し出し・配信の字幕サポート・鑑賞サポート)
タカハ劇団『美談殺人』(字幕端末貸し出し・舞台説明・バリアフリーサポート)
東京演劇集団風「星の王子さま」「ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち」(字幕・音声ガイド・舞台説明の文字通訳)
『光の音 影の音 耳だけで聞くものなのか』(音声ガイド)
ほか
イベント
○彩の国さいたま芸術劇場バリアフリー・セミナーVol.3 劇場のバリアフリー〈ソフト編〉目の見えない・見えにくい方に向けた鑑賞サポート
○東京芸術劇場 社会共生セミナー 第1回「演劇公演の鑑賞サポートを考える」講師
○大丸有SDGs映画祭2021 『もうろうをいきる』バリアフリー上映
○隅田川怒涛 天空の黎明 オンラインライブ配信 バリアフリー協力
○GAAD Japan 2021「動画の『アタリマエ』を考える」講師
○みなとシネマフェスティバル UDCast・バリアフリー対応
○障害者の文化芸術フェスティバル バリアフリー対応
○ブラインドサッカー ワールドグランプリ実況配信
○びわこアメニティーバリアフリー映画祭
○国立映画アーカイブ バリアフリー上映
○横浜能楽堂 バリアフリー能
など
施設
○多言語対応の館内展示解説アプリ導入
ホンダコレクションホール
○館内放送の字幕&手話映像/展示映像、ショーの字幕
美ら海水族館(2020年3月31日よりサービス休止中)
○館内説明の手話映像
アクアワールド大洗水族館
○館内音声の多言語化
敦賀赤レンガ ジオラマ館・山梨県立リニア見学センター(両施設とも2020年1月31日サービス終了)
映画製作者 コメント
2018年6月公開『万引き家族』田口聖プロデューサー
映画「万引き家族」の日本語字幕および音声ガイドの制作作業に参加しました。
是枝監督作品は「そして父になる」以降、毎作品、バリアフリー版を制作して頂いており、私は今作で三度目の参加になります。
毎回、どうすれば監督が思い描いた世界観を伝えることが出来るのか?ガイドが足りてなかったり、余計な情報を盛り込んでしまってないか?などと考えながら作業を見守っております。
具体的には原稿のチェック、モニター会での意見交換、音声ガイドの録音などの作業の中で、制作スタッフの方々の質問に答えたり、監督への確認をしたりしております。
この作品はカンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞しました。
監督は「あと20年ぐらいは作り続けられる勇気をもらったと思います」とコメントしており、今後も皆さんに映画を届けられたらと思います。宜しくお願いいたします。
2018年5月公開『海を駆ける』深田晃司監督
バリアフリー音声ガイドと字幕の制作に監督という立場で参加させて頂き、『海を駆ける』という作品を再発見していくような新鮮な体験を味わえました。
今回、パラブラさんで作ってくれた字幕と音声を、モニターの皆さんと一緒に体験し、意見を交換し修正していく作業をしながら、ふと「自分は今、なんて贅沢な時間を過ごしているのだろう」と思いました。
観客と一緒に映画の見え方を探っていくようなことは普通はなかなか出来ません。
一方で、これまで自分の映画はまだまだ届けるべきところに届けられていなかったんだなと痛切に実感しました。
今回の体験を機に、今後自分の過去の作品も未来の作品も、ぜひバリアフリー化ができるようにしていきたいし、そのために自分で何ができるかを考えていこうと思いました。
映画を作るときはいつも、どれだけ観て下さる方の中で想像力が広がるか、それを一番気にかけて作っています。
今回のバリアフリー版においてもまた、鑑賞して下さる皆さんの中でいろいろな景色が広がることを期待してます。
映画『海を駆ける』、ぜひ楽しんで下さい。
2018年1月公開 映画『ミッドナイト・バス』竹下昌男監督
「映画のバリアフリー上映って何ですか?」
まだ世の中にはそういう人が少なくない気がする。
実際身近で「それって、劇場に車いす対応のスロープがあるとかじゃないの?」と言った友人がいた。
それでも最近は「音声ガイド対応」とか、邦画なのに「日本語字幕付」とか目にする機会もだいぶ増えたし、映画の音声ガイド制作をモチーフにした映画も公開されたりして、そのうち「バリアフリー上映」と聞けば、誰でも大方想像できるだろう。
じゃあ、映画のバリアフリー版制作事情はどうかといえば、試行錯誤を繰り返しながら発展途上にある、というのが実際に音声ガイド・字幕制作に関わらせていただいた率直な感想である。
予算上の問題から、思うように時間を費やせないというストレスもあり、映画本来の表現を言葉でどう伝え直すのか、そこにルールは存在しないので、当然せめぎ合いになり、戸惑う。
そもそも映画は、どんな画か、何の音か、解説はしない。しかしバリアフリー制作では、その場面をいちいち「言葉」でどう表現するか考えるのだが、主観より客観、状況より情報を求められたりして、視聴覚障害のある観客は健常者とは違うのだと改めて実感することになる。
つまり「バリアフリー版」とは、通常のオリジナルとは別の一本の「作品」として作られている、ということだ。
そして、バリアフリーはこうあるべきというお手本がないのだから、これからもできるだけ、試行錯誤につき合ってみようと思う。
2017年9月公開ドキュメンタリー映画『禅と骨』中村高寛監督
私の映画『禅と骨』のバリアフリー版ができた。
主人公のハチャメチャな禅僧ヘンリ・ミトワさんの半生ならぬ、全人生とその家族が歩んだ100年をまるごと2時間7分に凝縮した映画で、自作ながら情報量がとても多い。
果たして、バリアフリー版が作れるのだろうか?
私の不安は、最初に作っていただいた試写版で、すぐに解消された。
それどころか「モニター検討会」に参加すると、実に細部の表現にまで話し合っていき、
監督である私が気が付かなかった指摘までされるほど!
完成したバリアフリー版は、通常版とは違う新たな魅力を放っている。
是非とも、この機会に多くの人たちに観てもらいたい。
2019年7月公開ドキュメンタリー映画『東京干潟』『蟹の惑星』村上浩康監督
バリアフリー版の製作は、私にとって映画という表現を再認識させていただく貴重な機会となりました
映像を言葉で語ること、音声を文字で表記すること、そこには曖昧さを残す余地はなく、映画が何を描いているのかを明確に提示する必要があります。作者である私ですら気づかなかったこと、あるいは無意識に目をそらしていた点がどんどん明らかになっていきました。まさに目からウロコが落ちる思いでした。
製作会議では、どうすればより映画が伝わるのか、より干潟を体感していただけるのかと議論は尽きませんでした。その成果は確実に反映されていると思います。
今回、音声ガイドについては私自身が声を担当させていただきました。プロではない私が担当することでお聞き苦しい点もあるかとは思いますが、自分の映画を語るのは己の責任だと自負して務めさせていただきました。
バリアフリー版の製作スタッフ、モニターの皆様には、難しい取り組みに果敢に挑戦いただき、心から感謝の意と敬意を表します。皆様に映画を楽しんでいただければ幸いです。
2020年11月公開劇映画『さくら』矢崎仁司監督
今回初めてバリアフリーの制作に参加させて頂き、素晴らしい体験ができました。ありがとうございます。スタッフの皆さま、この映画をモニターしてくださった皆様に感謝します。静寂な暗闇の中で、心のメロディーにリズムをとる指、瞳から零れた涙を忘れません。全ての映画に音声解説、字幕をつけるべきだと実感しました。スタッフの皆さまの、映画への愛が感じられて本当に嬉しかったです。『さくら』を作ってよかったと思いました。ありがとうございます。
2020年11月公開劇映画『さくら』関顕嗣プロデューサー
映画「さくら」のバリアフリー用日本語字幕と音声ガイドをお願いしました。
バリアフリー用日本語字幕と音声ガイドのシステムが導入された当初よりシステム自体を開発されて来たパラブラ社は、映画界に大きな功績を作られていると思います。
社員皆様の真摯な取り組み姿勢や女性を中心としたスタッフ皆さんのきめ細やかな対応には、本当に頭が下がります。
そして、映画「さくら」に於ける作業の感想をコメントさせて頂きます。
的確な表現と日本語の素晴らしい使い方に驚かされました。何より深く作品をご理解頂いた上で、状況の説明を超えたシーン全体の心情までも伝えてくれる音声ガイドでもありました。制作側の私達ですら、その美しいまでの日本語の表現に改めて勉強させて頂きました。心より感謝致します。今後も日本映画界に視野が広がる作業を続けて下さい。
2021年8月公開劇映画『ドライブ・マイ・カー』濱口竜介監督
『寝ても覚めても』以来、2度めの自作バリアフリー版作成に立ち会う機会をいただきました。今回も、視覚障害者の方や、聴覚障害者の方の参加する「モニター会」で音声ガイドと字幕それぞれの表現がブラッシュアップされていくプロセスに立ち会うことで、自作をまったく新たに体験し直したような感覚を得ました。
映像や音声を翻訳することは、もちろんとても困難なことですが、限られた条件のなかで観客がいかにそれぞれのバージョンを深く味わうことが可能になるのか表現を研ぎ澄ませていく、パラブラの皆さんの匠の技術につくづく感心しつつ、それ以上に映画を観客にでき得る限りそのまま受け渡そうと試行錯誤する姿勢に毎度心を打たれます。
2時間59分の映画ですが、どちらのバージョンを見たモニターの方たちの感想も「全然時間を感じなかった」というものでした。これは実際に健聴者や晴眼の方たちからも出てくる感想で、このような共通の感想が生まれてくること自体が、本作のバリアフリー版がいかに精緻に、誠実につくられているかということの証です。このバリアフリー版は、本作の魅力と密度を十分に伝えてくれるものだと感じています。
バリアフリー版作成に立ち会うことは自分にとっては、視覚障害や聴覚障害の世界を障害というよりは「異文化」として捉え直し、普段の自分の外界との接し方を見直す機会になります。この体験によって得られる世界観の編み直しのような感覚は、言葉を選ばずに言えば私にとってとても面白く、興奮さえするようなものです。今後も可能な限り自作のバリアフリー版をつくりたいという気持ちを強くしています。
『ドライブ・マイ・カー』バリアフリー版、お楽しみいただけたら幸いです。
濱口竜介
2014年6月公開劇映画『舞妓はレディ』周防正行監督
バリアフリー化によって多くの人に観ていただくことで、私の映画にたくさんの新しいイメージが生まれていくことに感動を覚えました。
私は常日頃から「お客さんを選ばない映画をつくりたい」と考えており、映画のバリアフリー化に関する試みは、その想いを新たにしてくれました。
2021年9月公開ドキュメンタリー映画『明日をへぐる』今井友樹監督
映画は、観る人の想像力と対峙するものだと思って作っています。でも、うまくいく時もあれば、そうでないときもあります。それに、受け取り方は観るものに委ねられるものです。自己完結しないからこそ、映画作りは楽しい。いつもそう思っています。
バリアフリーの制作も同じだと思います。ディスクライバー(Describer)と呼ばれる専門家が、字幕や音声ガイドナレーションを制作します。そして映画制作者や当事者を交えてモニター検討会を開き、意見交換を行います。少しでも良いものができることを願って、試行錯誤を重ねていきます。その先は、受け手に委ねられていくのです。
「明日をへぐる」は、誰が観ても優しくなれる映画でありたいと願っています
2019年1月公開映画『夜明け(英題:His Lost Name)』広瀬奈々子監督
文字通り「名前」が物語の鍵を握っているのですが、バリアフリー音声ガイドと字幕制作の過程では、何度も名前に関する問題が物議を醸しました。
主人公シンイチの下心と決意のタイミング。さらに、そもそも名前とは何か?どれだけ実体を伴うものなのか?というところにまで議論が及び、作品に対する解釈の幅を広げる濃密な時間になりました。一年半掛けて脚本に向かってきましたが、ここまで突き詰めて考えさせられたのは初めてのことです。
普段いかに自分が視覚と聴覚によって錯覚させられ、想像することをおろそかにしていたか。また視覚的聴覚的な効果で誤魔化し、何かを伝えた気になっていたか。目には見えないもの、耳では聞こえないものにこそ本質があるのだと気づかせていただきました。
映画は作り手の意図を超えて、観た人の解釈と想像力によってより豊かに波紋を広げていくものだと思います。『夜明け』は言葉の少ない映画です。その分、行動の真意を探る余白がたくさんあります。シンイチは何者なのか。彼の名前を周囲はどう受け止めるか。そしてシンイチはどう自立へ向かうのか。ぜひ「名前」に注目して、作品を楽しんでいただけると嬉しいです。
想像の原石を一緒に磨いてくださったモニターの皆様、Palabraのスタッフの皆様に心から感謝申し上げます。